声  明
2026年3月4日

統一教会「解散命令(東京高裁)」対する声明


 全国霊感商法対策弁護士連絡会 
代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
 代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
事務局長 弁護士 木村 壮(東京)  
  
1.統一教会への解散命令請求に対する東京高等裁判所決定について

(1)  本日、東京高等裁判所は、昨年3月25日に東京地方裁判所が世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下、「統一教会」といいます)に対して下した解散命令決定に対する統一教会の即時抗告を棄却する決定を発出しました。これにより統一教会に対する解散命令が確定し、統一教会の清算手続が開始することになりました。

(2)  統一教会は、40年以上に亘って、組織的に霊感商法や違法な献金勧誘行為を継続し、膨大な数の市民に対する甚大な経済的被害、精神的被害、家族被害等をもたらし続けて来ました。当会の集計では、当会や全国の消費生活センター、全国統一教会被害対策弁護団に相談のあった被害相談は1987年から2023年までで合計3万5287件、1339億9686万6553円にも及び、実際の被害はこれをさらに超えるものと考えられます。
 このような統一教会による組織的な違法行為について、昨年3月25日に、東京地方裁判所は、「不法行為に該当する献金勧誘等行為(法令違反行為)により、類例のない甚大な被害を生じさせ、現在においても、同種類似の被害を生じさせるおそれがある状況がなお看過できない程度に残存している」とし、統一教会に「事態の改善を図ることを期待するのは困難というべきである。」と判断し、解散命令決定を下しました。
 本日の東京高等裁判所の抗告棄却決定は、この東京地方裁判所の決定を是認したもので高く評価できます。


(3)  今回の高裁決定による統一教会に対する解散命令の確定及び清算手続の開始は、1990年代から統一教会の解散命令を文化庁に対して求め続けてきた当会及びこれまで甚大な被害を受けて、その人生に深刻な影響を受けた被害者及びその家族の方々が長く待ち望んだものです。
 もっとも、これまでも述べてきたとおり、当局による解散命令請求は遅きに失したものと考えており、統一教会による霊感商法や違法な献金勧誘行為が社会問題化してから30年以上もの間、解散命令請求がなされなかったことによって多数の被害者を生み続けることになったことは否定できません。今後は、東京地方裁判所の監督の下で清算人による清算手続が行われることになりますが、当会としては、政府に対し、この清算手続において、被害者が声を上げ、その救済が迅速かつ確実になされるよう引き続き必要な措置を講じるよう強く求めます。


2.統一教会の清算手続について

(1) 救済されていない被害者が多数に及ぶこと
 本日の東京高等裁判所決定を受け、東京地方裁判所は清算人を選任し、今後、東京地方裁判所の監督のもとで清算人による統一教会の清算手続が行われることになります。
 40年以上もの長期間に亘る統一教会の霊感商法や違法な献金勧誘によって生み出された被害者は膨大な数に及びますが、そのうち被害申告があったのはごく一部に限られています。また、全国統一教会被害対策弁護団に依頼して損害賠償を求めていたり、統一教会が設置した補償委員会に被害の申告をしたりしているものの、本日の解散命令確定までに被害救済を受けられなかった被害者はなお相当数います。清算手続では、いまだ声を挙げられていない被害者が声を上げられるようにするとともに、まだ賠償を受けられていないすべての被害者に対して適切な賠償がなされなければなりません。
 統一教会によって被害を受けたのは、霊感商法や違法な献金勧誘の被害者だけではなく、家族の献金によって苦しい生活を強いられた方、信仰を強要されるなどの人権侵害に苦しんできた2世、3世の方々などもいます。
 当会としては、清算人及び東京地方裁判所に対して、清算手続を実施するにあたって、すべての被害者が適切な賠償を受けられるよう最大限の配慮をされるよう強く求めます。

(2) 統一教会から被害を受けた、または統一教会との関わりに疑問を感じている全ての方に向けて
 今回の清算手続は、統一教会から賠償を受けるための最後の機会となる可能性があります。被害を受けた方、被害と言えるかは分からないが統一教会にした献金等に疑問を抱いている方、家族の献金によって苦しい生活を強いられた方、信仰を強要されるなどの人権侵害に苦しんできた2世、3世の方々は、この機会に法テラス、全国統一教会被害対策弁護団または当会に是非ご相談ください。


(3) 声を上げた被害者等への誹謗中傷等への対策について
声を上げた被害者や2世、3世がこれまで激しい誹謗中傷等にさらされてきたことにより、被害申告がためらわれる状況が生じています。このような事情を踏まえ、統一教会に対してはそうした誹謗中傷等の行為を厳に慎むよう求めると共に、清算人及び政府に対しては、被害者の被害申告がためらわれるような違法行為が決して行われないよう、また、違法行為が行われた場合には速やかに適切な対処が取られるよう、対策を講じることを求めます。


3.清算手続後の残余財産の天地正教への承継について

 統一教会の清算手続においては、被害者の救済が確実になされることのみならず、今後の統一教会の違法な活動が確実に防止される必要があります。この点、統一教会の清算手続において被害者等の債権者に弁済がなされた後の残余財産については、2009年の統一教会の責任役員会及び評議員会議で、天地正教に承継させる旨の決議がされています。そのため、何らかの手当をしなければ、今回の清算手続後の残余財産は、統一教会が実質的に支配している天地正教に承継されてしまいかねない状態です。
 しかし、統一教会の被害者の中には天地正教からも被害に遭っている人が多数存在しており、残余財産が上記の通り天地正教に承継されてしまえば、残余財産を活動の基礎とし、違法な献金勧誘行為が継続されてしまうことが強く懸念されます。
 また、統一教会の被害者の中には先祖の因縁等の恐怖を植え付けられているためにすぐに被害申告できない者も多くおり、清算手続中に被害申告することを躊躇する者が多く出てくることも懸念されます。このような被害者が救済されない一方で、残余財産が天地正教に承継され、統一教会と実質的に同様の活動が継続されてしまうことは到底許されるものではありません。
 そこで、政府及び国会に対し、この清算手続において生じる残余財産が被害者救済のために継続して充てられると共に、統一教会と実質的に一体の宗教法人に承継されないよう適切な立法措置を講じるよう求めます。


4.解散命令後の新たな被害の防止について

(1) 新たな被害の発生の有無を継続的に注視する必要があることについて
 本日をもって宗教法人としての統一教会の解散命令が確定し、清算されるとしても、統一教会及びその信者らは任意団体等として活動を継続することができます。日本の統一教会は文鮮明、文鮮明の死後はその妻韓鶴子を絶対的な存在とし、両者や両者に近い幹部らの指示を絶対視して来ました。韓鶴子は現在韓国において刑事裁判にかけられていますが、なお韓鶴子やその指名する人物が韓国と日本の組織を牛耳っている状況には変わりはありません。今後も、韓国の幹部信者らが、日本の市民がどんなに苦しめられてきたのかについて全く配慮せず、いつまでにいくら資金を拠出しろなどと指示を出し続けることが危惧されます。
 そこで、今後、霊感商法や違法な献金勧誘が繰り返されないよう、消費者庁においては継続して被害申告の窓口を設けるとともに、被害の発生状況を注視し、必要に応じて適切な措置を講じるよう求めます。


(2) 不当寄付勧誘防止法の見直しについて
 現状の不当寄付勧誘防止法は、統一教会による、信仰選択の自由を侵害する違法な伝道活動によって価値判断を変容させられた結果、指示されるがままに献金をさせられるような被害類型の救済ないし防止の観点からは、なお不十分な点が散見されます。また、同法は原則として法人による寄付勧誘を防止するものであるため、宗教法人格を失った後の任意団体としての統一教会やその信者らが個人で同様の献金勧誘行為を行ったとしても不当寄付勧誘防止法で取り締まることができません。
 そこで、政府及び国会に対し、新たな被害を抑止するために、改めて不当寄付勧誘防止法の規定を見直すよう求めます。


5.最後に

 本日の東京高等裁判所の決定によって統一教会の解散命令が確定し、清算手続が開始したことは、統一教会の被害救済及び被害防止にとって重要な進展と言えます。もっとも、未だ被害の救済を受けていない被害者は多数に及び、今後も清算手続において全ての被害者が適切な賠償を受けられるようにする必要があります。また、新たな被害を防止する体制が十分構築されているとは言い難い状況があります。
 当会としては、統一教会問題はまだまだ終わっていないという考えのもと、関係各所と協力して、引き続き被害者の救済及び新たな被害の防止のために尽力していく所存です。

 以上