◆日本の統一協会の実態 2006年1月

日本での世界基督教統一神霊協会(以下、「統一協会」といいます。)の実態を説明します。

全国霊感商法対策弁護士連絡会

1 霊感商法の被害の実情・態様

(1) 被害のきっかけ
 日本の統一協会の信者たちは、統一協会であること、宗教団体であることの正体を隠して、無差別に、戸別訪問を行い、街頭で声をかけて話し込み、ビデオセンターに誘ったり、印鑑や数珠(念珠)を売りつけます。これが統一協会に引き込まれる典型的な契機となります。

 街頭では、「青年の意識アンケート調査をしています」と声を掛けたり、「エイズ撲滅・真(まこと)の家庭再建運動・子供をポルノから守るために署名を集めています」と声を掛けたりします。

 運勢鑑定を無料でしますという内容のはがきを各戸の郵便受けに入れて誘う手口もさかんです。目的は住所や電話番号、氏名等を聞き出して、今後のアプローチの手がかりをつかむことにあります。

 また、「額に転換期の相が出ています」、「手相を見させてください。勉強中なので」などと言って呼び止め、運勢鑑定チケットを渡して「手相や家系図に詳しい私の尊敬する先生が特別にあなたを見てくれると言っています。ぜひ見ていただくといいですね」と誘い込むこともあります。

 こうしてビデオセンターに誘い込み、その日に、長時間にわたって執拗に説得を繰り返し、印鑑3本セットや念珠を数十万円で売りつけたり、数万円のビデオセンター入会契約をさせるのです。

 信者たちは、上司に命令されて、正体を隠したまま、友人、知人、家族や親戚を、絵画展示会(美術世界という会社が表向き主催)、宝石展示会(クリスチーナ・ハンというブランド名)、着物展示会などに誘い込み、高額な商品を購入させます。健康フェアーや薬膳料理の会に誘い込み、韓国の一和という会社が製造元の高麗人参濃縮液を1本8万円で購入させたりもします。これらがきっかけで統一協会に取り込まれる人も多くいます。アセデールというサウナ(ハッピーワールドが製造元)、健康食品類を売りつけたり、男女美というブランド名の化粧品販売や整体術で誘うこともあります。

 家系図講演会や気学・方位学、四柱推命の会、世界平和女性連合の主催する様々な集まり、真の家庭運動推進協議会・天地正教等の団体名で催すイベントに誘ったり、ユニバーサルバレー団やリトルエンジェルスの公演への勧誘も、統一協会への入会の契機となっています。

 これらの活動は、全て統一協会の信者が組織的・計画的にその教義に動機付けられて行なっているのですが、外形上は天真堂、ケイヨーネクストなどの会社名で契約しています。

(2) 統一協会は全財産を奪います。
 統一協会がこのような勧誘をする目的は、勧誘対象者(以下、「ゲスト」といいます。)から全財産を奪うこと、ゲストを統一協会の信者に仕立てて将来は加害者、勧誘する側に立たせることにあります。

 ゲストは、人生について勉強するところですと言われて、毎日のようにビデオセンターでの講義を受けるように仕向けられます。

 先祖供養をしなければ良い人生を送れない、先祖供養の方法を勉強しなければいけないと言って、統一協会の信者が先生役となって行う家系図講演会に誘われるゲストもいます。

 こうした講義の中で、ゲストたちは、統一協会であること、統一協会の教義であることを知らされないまま、「あなたの先祖は因縁のために暗い地獄で苦しみ助けを求めている」、「因縁をはらって先祖を救い出してあげなければ、あなたの家系は衰退して途絶えてしまう」、「先祖を救わなければ、あなたやあなたの子孫はとんでもない災難にあう」などと、先祖因縁の恐怖感を植え付けられ、統一協会の教義を教え込まれていきます。同時に、財産には人々の恨みが残っていて強い因縁があり、これをはらわないと先祖を救うことができない、財産についている因縁をはらうと言って、ゲストの所有財産を報告させます。

 統一協会信者は、ゲストに対し、このような教え込みをするのと並行して、念珠・印鑑・大理石の壺・高麗人参濃縮液・着物・絵画・宝石などの高額な商品を売りつけていきます。

 ゲストに先祖因縁の恐怖を植え付けることに成功すると、「因縁をはらうためには、あなたの大事な物をすべて天に捧げなければならない」などと言って、長時間にわたり執拗に献金をするように説得を繰り返します。この結果、所有するすべての不動産を売却させられ、一人で100億円とか200億円の献金をさせられたゲストもいます。すべての資産を献金させられた後、絶望して自殺をしてしまった方も数多くいます。すべての財産を献金させられた後に、さらに、高利の金融機関からの借金を指示されるゲストもいます。

 不動産など多額の財産を所有するゲストについては、数カ月の「教育」計画を立てて、その財産をすべて献金させるように仕向けますが、ただちに献金を迫ることが難しい場合、「私たちが必ず責任を持って返済しますので、天のためにお金を貸してください」と嘘を言い、不動産を担保に金融機関から借金させてこれを提供させます。統一協会は、返済をするつもりはありませんので、その後は、このゲストにたくさんの信者を日常的に貼り付けてゲストの行動を監視してコントロールし、先祖の因縁の恐怖感をあおり続けます。そして、霊界のことを見通す能力を持つとする霊能師役の信者が、ゲストに対し、「借金を返せというのは財産に執着していることで罪である。あなたの先祖はこのお金を天に捧げることを望んでいる。これに逆らえば、あなたの先祖は今後もずっと地獄で苦しみ続けることになる」などと脅迫し、借金を献金に切り替えるようにさせるのです。

 こうして、統一協会は、狙いを付けたゲストに対し、統一協会の教義を教え込む「講師」、先祖の因縁等の不安や恐怖をあおって献金や借金を説得する「霊能師」あるいは「先生」、日常の相談にのって不安・苦情のなだめ役となる「お世話係」、最初にゲストを統一協会に誘いその後もゲストを励ます「霊の親」、これらの信者を束ねて目標達成の指揮をする「タワー長」。このような周到かつ組織的計画と役割分担をもって、すべての財産を奪っていくのです。

 1987年に、統一協会による霊感商法が社会問題化するまで、統一協会は、ゲストに対し、数十万円の印鑑・念珠をまず購入させ、次に数百万円から数千万円の大理石壷・多宝塔・釈迦塔を購入させ、さらに1本8万円の高麗人参濃縮液を数十万円から数億円購入させるというコースが典型でした。しかし、霊感商法が社会問題化した1987年以降は、大理石壷・多宝塔・釈迦塔を購入させることが難しくなり、その代わりに着物・宝石・絵画を購入させたり、献金・借金の強要による資金集めが主流となっています。最近再び大理石壺を天運石と称して売っています。家の中の悪霊を吸いとってくれるので韓国の清平(チョンピョン)という所にある修練所でお祓いしてもらうと言って、統一協会に深入りさせています。

(3) 広汎な被害
 統一協会の霊感商法に対し、1987年2月から、日本全国の弁護士が被害救済の取り組みを開始しました。1987年から2004年までに、日本全国の弁護士及び消費者センターに寄せられた被害は、末尾の表のとおりで、相談件数は2万5213件、被害金は合計で915億4553万2210円にものぼっています。(このような被害の実情や統一協会の実態については、山口広「検証・統一協会」、全国霊感商法対策弁連編「合同結婚式の手口と実態」(いずれも緑風出版刊)に詳しく記述されています。)

2 問題の所在

(1) 欺瞞的なアプローチ
 統一協会は、すべての信者に対し、教義の実践であるとして霊感商法による資金集めに従事させていますが、その際、統一協会であることの正体を隠すように指示しています。このため、統一協会信者は、ゲストから、「ここは宗教団体ですか」と聞かれても、「宗教団体ではありません」と嘘を言い、「ここは統一協会ですか」と聞かれても、「統一協会というのは何ですか。まったく関係ありません」と嘘を言います。

 統一協会信者は、ビデオセンターに誘い込んだゲストに対し、統一協会の教義である創造原理・堕落論・復帰原理・メシア論などをあたかも真理であるかのように教え込みますが、その際も、統一協会の教義であることはひた隠しにします。

 ビデオセンターで繰り返し先祖因縁の恐怖感を植え付け、統一協会の教義とは知らせないままに教義の教え込みを行った上で、最後に、この団体が統一協会であること、教祖が文鮮明であることを明かすのです。

 しかも、統一協会は実に多くのダミー団体の名でゲストにアプローチをするので、ゲストは相当深入りするまでその正体に気づきません。たとえば、新純潔教育キャンペーン等を世界平和統一家庭連合・世界平和女性連合・東西南北統一運動国民連合等の組織名でしています。真の家庭推進運動や世界平和連合、天宙統一連合、国際勝共連合等の名で署名を集め、難民救済・震災地救済・野の花会やしんぜん会(社会福祉救援)等の名目で募金集めもします。戸別訪問による珍味やハンカチ・コーヒー等の販売もします。

 天地正教という仏教的粉飾の別組織や韓日人協会の施設を全国各地に持っています。ビデオセンターや人参液・宝石・着物・印鑑念珠の販売会社も全国各地にあります。家庭常備用の配置薬の会社や整体術の事務所を運営して新たな被害者を探してもいます。

(2) 手口の悪質さ
 霊感商法の最大の問題は、その巧妙かつ計画的組織的な手口の悪質さです。

 統一協会の教義の柱に「万物復帰」があります。これは、原罪を負う人間は物以下の存在に堕落しており、物を神に捧げることによって救いに近づくという考え方です。信者は、自分の財産だけでなく親族・友人・一般市民のすべての財産を神すなわち文鮮明に捧げることが、自分だけではなく相手方も救うことになると信じ込まされています。信者たちは、一人一人、毎日の資金集めのノルマを与えられ、このままでは日本は滅びるなどと危機感をあおられ、眠る時間も削って、資金集めに奔走しています。資金集めのノルマは、文鮮明あるいはその側近から日本の責任者に指示され、日本の責任者は、この指示に従い、全国各地の責任者にノルマの達成を日々命じるのです。ノルマを達成できない地区の責任者、地区の信者らは、厳しい叱責を受けることになります。

 ゲストから財産を奪い取るための説得方法は、壼の販売でも献金や借金でもほとんど同じです。「あなたの先祖は武士で過去に人を殺したことがあり、殺傷因縁があります」、「あなたの先祖は離婚して再婚しており、女性の恨みをかっていて、色情因縁があります」、「あなたの財産は先祖がたくさんの人の恨みをかいながら築いたもので、財の因縁があります」、「先祖は暗い地獄で苦しみ続けており、地上界にいるあなたに救いを求めています。このままではあなたの家系は滅びて絶家します」、「癌という漢字は品物の山にやまいだれからできています。財の因縁のためにあなたの先祖は癌で死んでおり、あなたやあなたの子孫も癌で死ぬことになります」、「先祖に事故で死んだ人がいたり、手術で身体を切った人がいるのは殺傷因縁のためです。このままでは、あなたやあなたの子孫は事故で死亡します」、「あなたが結婚できないのは、色情因縁のためです」、「あなたに男の子供がいないのは色情因縁のために男が立たない絶家の家系となっているからです」などと脅して、ゲストの不安をあおって「私はどうすればいいの」と思わせたうえで、「因縁をはらうためには、本当は出家しなければならない。あなたが氏族のメシアになって、すべてを神に捧げるくらいの決意をしないとこうした因縁は解放されないし、地獄の先祖も救われない」と迫り、財産の提供の決意を促すのです。迷う客には、「あなたの子供の命と財産とどっちが大切か」と迫ります。

 霊界が見えると称する偉い先生役の信者のこのような説得の一方で、お世話役の信者が横で、「良かったね。これで救われるね。私も献金をして人生が変わったのよ。あなたにも頑張ってほしいの」などと決意を迫ります。

 こうした説得は、密室で、朝から晩まで、承諾するまで行われます。長時間にわたる脅迫の中で思考能力を奪われたゲストは、早く献金を承諾して楽になりたいと思うように仕向けられるのです。献金を承諾したゲストに対しては、多くの信者が日常的にまとわりつき、心変わりをしないように監視していきます。

3 被害の救済

(1) 1992年8月の韓国ソウルで行われた合同結婚式に、日本の有名タレントが参加したことから、統一協会問題がテレビ、週刊誌などのマスコミで頻繁に取り上げられるようになり、私ども弁護士に寄せられる被害相談が急増しました。このため、統一協会は、被害金の請求に応じることが困難となり、全国各地で統一協会を被告とする訴訟が数多く起こされるようになりました。

 物品被害では、統一協会と併せて統一協会の販売会社を被告とする例が多く、献金被害では、統一協会と併せて霊能師役の信者らを被告とする例が多くみられます。

(2) すでに、日本全国の裁判所は、統一協会の法的に責任を認める判決を次々と下しています。その概要は次のとおりです。
統一協会の責任を認めた判決の概要(2005年9月22日時点)

a 福岡地裁平成6年5月27日判決
(判例時報1526号121頁、判例タイムズ880号247頁)
福岡高裁平成8年2月19日判決
最高裁平成9年9月18日判決
(献金勧誘行為の違法性)
2人の未亡人に対する献金勧誘行為が不法行為であり、統一協会に使用者責任があるとした。計3760万円を認容。

b 東京地裁平成9年10月24日判決(判例時報1638号107頁)
東京高裁平成10年9月22日判決(判例時報1704号77頁)
最高裁平成11年3月11日判決
(献金勧誘行為の違法性)
婦人に対する献金等勧誘行為が不法行為であり、統一協会に使用者責任があるとした。2540万円を認容。
c 奈良地裁平成9年4月16日判決(判例時報1648号108頁)
大阪高裁平成11年6月29日判決(判例タイムズ1029号250頁)
最高裁平成12年1月21日決定
(献金勧誘行為の違法性)
2人の婦人に対する献金等勧誘行為が不法行為であり、統一協会に使用者責任があるとした。計820万円を認容。(奈良地裁は、統一協会の組織化された献金勧誘システム自体が違法であるとしている。)

d 高松地裁平成8年12月3日判決
(献金勧誘行為の違法性)
前3件同様の事例で高齢の未亡人に対する統一協会の使用者責任を認めた。
715万円を認容。高松高裁で被害が回復される形での和解成立。

e 仙台地裁平成11年3月23日判決
仙台高裁平成13年1月16日判決
最高裁平成13年6月8日決定
(献金勧誘及び物品販売行為の違法性)
3人の婦人に対する献金や人参濃縮液の販売行為が信者による不法行為であり、統一協会に使用者責任があるとした。計812万8000円を認容。

f 福岡地裁平成11年12月16日判決(判例時報1717号128頁)
福岡高裁平成13年3月29日判決
最高裁平成13年10月16日決定
(いわゆる霊感商法の手口による物品販売行為などの違法性)
2人の婦人に印鑑・大理石壺・多宝塔・釈迦塔・人参濃縮液を売りつけた行為が信者による不法行為であり、統一協会及び株式会社ハッピーワールドに使用者責任があるとした。提訴前の交渉で被害未回復であった計590万円を認容。

g 東京地裁平成12年4月24日判決
東京高裁平成12年10月30日判決
最高裁平成14年10月25日決定
(いわゆる霊感商法の手口による販売行為の違法性)
未亡人に、多宝塔・人参液・釈迦塔(合計9000万円余)を売りつけた行為が信者による不法行為であるとして、統一協会に使用者責任があるとした。被害実額に約70%の遅延損害金が付加して認められている。

h 広島高裁岡山支部平成12年9月14日判決
最高裁平成13年2月9日決定
(伝道の手口と献金勧誘の手口の違法性)
元信者がビデオセンターを通した統一協会の詐欺的入信勧誘と献金の説得について組織的不法行為が認められるとして、献金70万円と修練会参加費相当額の損害及び100万円の慰謝料を命じた。元信者の請求を棄却した岡山地裁判決を、広島高裁岡山支部が破棄した逆転判決。
i 甲府地裁平成13年6月22日判決
(借入させていた資金を交付させる手口の違法性)
統一協会信者が婦人に金融機関からの借入金を貸すよう頼み込んで返さない行為が不法行為だとして、5000万円の支払いを統一協会に命令。高裁で原判決に即した和解が成立。

j 札幌地裁平成13年6月29日判決(判例タイムズ1121号202頁)
札幌高裁平成15年3月14日判決
最高裁平成15年10月10日決定
(伝道の手口の違法性)
統一協会元信者20名に対する教団組織の勧誘・教化行為は、組織的・欺瞞的・強迫的であって勧誘される側の信仰の自由を侵害するおそれのある違法なものとした。合計2000万円余を認容した。詳細な事実認定に基づいて判断を下した決定版的な判決。最高裁決定で確定。

k 大阪地方裁判所平成13年11月30日判決(判例タイムズ1116号180頁)
(献金勧誘、物品販売行為の違法性)
関西地方の主婦ら10名の献金や人参液、印鑑等の多種類の金銭被害の訴えについて、その多くについて信者の行為に違法性があるとして統一協会の責任を認め、合計1億5800万円余の支払を命じた。平成14年7月、大阪高裁で1億9800万円を支払う内容の和解が成立。

l 東京地方裁判所平成14年8月21日判決
東京高等裁判所平成15年8月28日判決
最高裁平成16年2月26日決定
(伝道の手口、合同結婚式勧誘の違法性)
元信者3名が原告。ビデオセンターを窓口にした入教勧誘及びその後の詐欺・強迫的教え込みの手口と、その後合同結婚式に参加させて相手と結婚させたことなどの違法性を認め、統一協会の使用者責任を認めて慰謝料などとして合計920万円の支払いを命じた。最高裁決定で確定。

m 京都地方裁判所平成14年10月25日判決(判例タイムズ1126号186頁)
(献金勧誘、物品販売行為の違法性)
主婦ら15名(その多くが元信者)の献金や物品代金名下の多項目の被害についての損害賠償請求のほとんどを認め、統一協会に合計5373万円余の支払いを命じた。大阪高等裁判所で平成16年3月5日、6000万円の分割払いで和解成立。

@ 新潟地方裁判所平成14年10月28日判決
東京高等裁判所平成16年5月13日判決
最高裁平成16年11月12日決定
(統一協会における伝道の手口の違法性)
元信者原告51名中第一グループ7名について、統一協会の伝道方法が違法で信教の自由を侵害され、献身者として過酷な生活を長期間強いられたという訴えを認め、統一協会に法人としての不法行為責任があるとして合計1538万8000円の支払いを命じた。その後別の原告9名についても平成16年2月27日第二次の勝訴判決が下されている。

A 新潟地方裁判所平成16年2月27日判決
この裁判の元信者原告中第二グループの9名について、第一グループ同様の判断で統一協会の法的責任を認めた。

B 新潟地方裁判所平成17年4月25日判決
同じ裁判の元信者原告の残り35名の第三グループ全員について、その主張を認め、統一協会信者による一連の勧誘・教化行為の違法性を認め、統一協会に合計8700万円余支払いを命じた。

o 大阪高裁平成15年5月21日判決
最高裁平成15年10月10日決定
(統一協会における伝道の手口の違法性)
元信者3名の、統一協会の伝道方法が違法で信仰の自由を侵害されたうえ、統一協会の教義に盲従させ、過酷な労働を強いたという訴えが認められるとして、合計715万円の支払いを命じた。元信者の請求を棄却した神戸地裁判決を、大阪高裁が破棄した逆転判決。最高裁決定で高裁の判断が確定。

p 大阪地方裁判所平成15年6月26日判決
(献金勧誘、物品販売行為の違法性)
難病の長男をかかえる主婦35歳の悩みにつけこんでビデオセンター入会金5万円、献金620万円、1200万円、壺160万円、多宝塔540万円の一部払81万円等の被害を被ったことについて、合計6371万円の支払いを命じた。大阪高等裁判所で、7963万7500円を支払う内容の和解成立。

q 福岡地裁平成5年10月7日判決(判例時報1483号102頁、判例タイムズ831号258頁)
福岡高裁平成7年10月31日判決
最高裁平成8年4月25日判決
(合同結婚式参加者の婚姻無効)
統一協会の合同結婚式後に入籍した日本人信者男女の婚姻の無効を認めた。婚姻意思の不存在を主張した元信者女性の主張を認容。同種の判決や家裁の審判例は全国ですでに50件を超える。

(3) これら被害救済を受けられたのは、統一協会の勧誘方法、資金集めの方法に疑問を感じて被害を申告できた人々です。未だに統一協会の取り込まれて財産を奪われ続けているゲスト、すべての財産を奪われて統一協会から相手にされなくなったものの、先祖因縁の恐怖を植え付けられたために被害申告ができないゲストも数多くいます。

 統一協会の必ず返済しますとの約束を信じて、自宅を担保に金融機関からお金を借りて統一協会に渡したものの返済を受けられず、金融機関から厳しい支払督促を受け続けている独居老人、金融機関から強制執行を受けて自宅を奪われ貧困の中でアパート暮らしをしている独居老人もいます。自宅が強制執行にあいながら、子供達に被害を相談できず、自殺するしかないとまで追い込まれている高齢の夫婦もいます。
 統一協会は、こうした判決が出ても、これをいっさい無視して、これまでとまったく同じ手口の霊感商法を繰り返しています。

 私どもは今後も判決を積み重ね、統一協会の霊感商法は許さないという社会的合意を確立させ、宗教法人の認可を取り消すように働きかけていこうと思います。しかし、たとえ宗教法人の認可を取り消されても、統一協会信者は、万物復帰の教義の実践活動として、霊感商法による物売り、献金・借金の強要による資金集め活動は続けていくでしょう。民事事件の判決を得るだけではなく、刑事事件での責任追及もしていく必要があります。

4 渡韓を強要される女性信者の急増

(1) 日本の統一協会は、独身の信者に対し、男女交際を厳しく禁じつつ、献金のノルマ、信者獲得のノルマを達成した信者に対し、合同結婚式への参加、祝福を許し、ここで組み合わせたカップルについて、さらに献金のノルマ、信者獲得のノルマを与え、これを達成した信者に家庭を持つことを許してきました。
 信者たちは、祝福を受けて家庭を持てば原罪のない子供を産むことができ、理想家庭を築けると教えられ、この祝福を受けるために、霊感商法に励むことになります。

(2) 文鮮明は、ここ数年、日本人女性信者に対し、韓国人男性を祝福相手に指名し、指定のノルマを果たした後の渡韓を指示してきました。このため、渡韓する日本人女性が急増しています。

 日本人女性信者の祝福相手に指定される韓国人男性のほとんどは、日本人女性と結婚ができるとしてにわか信者となった方です。

 嫁不足の農村に住んでいて結婚できないでいた高齢の男性、アルコール中毒、病気などのために定職に就くことができず生活保護を受けていて結婚できないでいる男性、借金まみれとなり家族や親戚に見放されて結婚できないでいる男性、智恵遅れのために結婚できないでいる男性などのもとにも、多くの日本人女性が嫁いでいます。

 まったく恋愛感情もなく結婚したカップルであり、共通の趣味や信念があるわけではなく、育った環境、教育もまったくかけ離れているため、家庭を持った後にトラブルが発生する例が数多くあります。

 多くの日本人女性信者は、統一協会の活動を行うことを家族に反対されており、両親に結婚することも、渡韓することも告げずに、韓国人男性と家庭を持っています。統一協会の責任者も、家族間のトラブルで渡韓できなくなることを恐れ、信者に対し、両親に黙って婚姻届を提出し、渡韓することを奨励しています。両親に黙って渡韓して家庭を持っても、子供が産まれさえすれば、両親は、諦めて結婚を認めるようになると指示しているのです。このため、日本人女性信者は、韓国人男性とトラブルになっても、自分の両親にさえ相談できず、ノイローゼ状態となっている例も多くあります。

 そうした結果、最終的に日本に子供と共に逃げ帰り、私ども弁護士に相談する女性信者が急増しています。
(3) 国際結婚を維持するのは、同国人同士の結婚と比べ、もともと困難な点があります。
 これを承知の上で、自らの組織活動上の理由で、無責任に大量の日本人女性信者を、両親の承諾もないまま、渡韓させて家庭を持たせ、その後のトラブルに対しては、ただ我慢しろと指示する統一協会のやり方は許されるものではありません。

(4) 今後私どもは、韓国のキリスト教関係者の方々の協力も得ながら、渡韓を強要された日本人女性信者の実態を調査し、被害救済に努めていきたいと思います。