声  明
2023年10月13日

旧統一教会に対する解散命令請求について


 

全国霊感商法対策弁護士連絡会

 
 代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
事務局長 弁護士 川井康雄(東京)
 
 1   本日、文化庁は、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下「旧統一教会」という。)に対し、宗教法人法に基づく解散命令請求を行った。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、「当連絡会」という。)は、1987年の結成以来、旧統一教会による被害を救済し、新たな被害を抑止するため、旧統一教会による霊感商法・正体を隠した伝道活動・合同結婚式・献金や献身の強要等の被害の深刻さ、さらには組織的で悪質な手口を再三訴え、政府に対してはその抜本的な対策を求め、文化庁に対しては解散命令請求を行うように繰り返し申し入れてきた。

今般、政府が旧統一教会による被害を直視し、文化庁が解散命令請求を行ったことは、旧統一教会による被害の抑止、救済のいずれに対しても大きな一歩になるものとして、当連絡会はこれを高く評価する。本日の解散命令請求に至るまで文化庁を始めとする関係者の方々のご理解とご尽力に心より感謝申し上げたい。

 今後、解散命令に至る審理過程では、旧統一教会からの必死の抵抗が優に予想されるが、これまで積み上げられてきた同宗教法人の違法行為に関する裁判例や資料を基に、充実かつ迅速な審理を行い、速やかな解散命令が下されることを強く希望する。

2   一方で、財産保全の措置が取られるよりも前に解散請求に至ったという状況は、旧統一教会が海外送金その他の方法によりその資産を流出させる危険性をより一層高めているものといえる。もしかかる懸念が現実化すれば、旧統一教会の被害救済の途は非常に困難となってしまう。

 したがって、今臨時国会中、可及的速やかに、実効性のある財産保全の特別措置法が成立することを求める。


3   当連絡会は、今般の解散命令請求により、裁判所が解散命令を下すことは確実であると考えるが、解散命令が下され、旧統一教会が宗教法人格を失ったとして、宗教団体としての実態が消失するわけではない。旧統一教会の解散命令は大きな節目ではあるが、これにより問題が全て解決するわけはなく、課題は山積している。

 もとより多数の関連団体を有する旧統一教会グループの存在を考えると、宗教法人格を喪失させることだけでは、旧統一教会の被害抑止、被害救済の決定打には至らない可能性が大きい。同グループの動向には、引き続き全国民が注視していく必要がある。

4   旧統一教会問題が何故生じたのか、何故ここまで放置されてしまったのか、今後どうすれば二度と同様の被害を引き起こさなくて済むのかについても、徹底した調査、検証が必要である。特に政治と旧統一教会との癒着については、未だに十分な調査、検証がされないままとなっている。

本日、細田博之衆議院議長が会見を行なったが、自身や故安倍晋三元首相の旧統一教会との関係についての説明は甚だ不十分なものであった。要職にあった者として有権者に対する十分な説明がなされるべきである。

当連絡会は、引き続き調査・検証が適切に行われるよう関係各所に求めていきたい。


5   最後に、当連絡会は、関連各所と積極的に協力・連携し、さらに考え方・意見・政党を問わず政治家の皆様とも協力・連携するなどして、現在多数の声が上がっている被害者の救済のみならず、二世問題や家族被害も含め、旧統一教会による被害抑止、被害救済に向けて引き続き全力を注ぐ所存である。
以上