抗議書及び回答書
統一協会からの抗議書及び回答書(平成九年放映ザ・ワイド関連)

 ●統一教会からの抗議書
1997年10月7日
 貴殿は日本テレビ「ザ・ワイド」(平成九年一〇月三〇日放映)なるワイドショー番組で放送された「統一教会“合同結婚式と関連”!? ナゾの署名活動を直撃」の中で全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長との肩書きでインタビューに答えて、当法人の儀式であった「祝福」の際の聖酒式及び使用される聖酒について「当初は文鮮明が女性とセックスしてその女性の原罪をはらうということから出発している。数多い女性とそんなことできるわけないですから、文鮮明の象徴であるものを飲ませる。文鮮明の精液、血液を入れているとの話もあった。その後はワインに何かを調合して色んなものを入れて聖酒式を執り行っているようです」などと話していますが、聖酒式の出発及び聖酒の内容物について、貴殿の発言は全くの事実無根の内容であり、当法人は強く抗議し、その事実関係の釈明を求めると共に文書による謝罪を要求します。

 まず貴殿の発言で「当初は文鮮明が女性とセックスしてその女性の原罪を払うところから出発している」と断言していますが、聖酒式が当初からも文鮮明師が女性とセックスをして原罪を払うところから出発しているなどということは絶対にありません。

 文師及び統一教会反対する人たちが誹謗・中傷する目的でそのような風聞を流したことはありますが、それは全くの事実無根の内容であり、文氏が複数の女性と関係を持ったかのごとき内容を記載した『六マリアの悲劇』(恒友出版刊)の著者である故朴正華氏も、同書の内容で文師が女性と関係を持ったと記述した内容は、朴氏の脚色であり内容はねつ造したものであると朴氏自ら『私は裏切り者』(世界日報社刊)の二五三頁以下で述べており、『六マリアの悲劇』の内容は虚偽である旨明らかにしています。

 また、統一教会の初期の合同結婚式に参加し「三六家庭」の一人で、現在は統一教会に強硬に反対している劉孝敏氏ですら、日本のテレビのインタビューに、自分の妻と文鮮明がセックスしたことなどない、と答えています。また、三家庭の一人である史吉子女史も、韓国で行われた裁判に証人として出廷し、「血分けとか文師とのセックスなどなかった」と証言しています。

 以上の事実からも、「文師が女性とセックスしてその女性の原罪をはらうことが聖酒式の出発ある」と断言する貴殿の発言は事実無根であることは明らかです。

 また、貴殿は「数多い女性とそんなことできるわけないですから、文鮮明の象徴であるものを飲ませる。文鮮明の精液、血液を入れているとの話もあった。」とも語っていますが、聖酒の中には精液や血液などは絶対に入っておりません。九二年の合同結婚式を前後して、反統一教会の急先鋒に立つ東北学院大学の浅見定雄氏がテレビなどで、「聖酒には精液又は体液が入っている」などと発言したことはありますが、浅見氏がこの発言の根拠としているのは一九七四年冬季第二号の祝福に掲載された『聖酒は、何が入っているかというと、それは父母の愛の象徴が入っている。それから血が入っていないといけない。それを飲むと、父母の愛と一体となり血と体になる。』との文鮮明師の説教の一文であり、「父母の愛の象徴」を、浅見氏が氏独特の価値観により「精液、体液」と解釈したもので、何でもいいから批判してやろうという下司の勘ぐりとしか言わざるを得ません。

 当法人では浅見氏に対して同氏の発言に対して厳重な抗議をし、発言の根拠と証拠を提示するように求めましたが、同氏は納得できるような何ら有効な根拠は提示することができませんでした。

 ちなみに、この「愛の象徴」とは、文先生夫妻の「血と汗と涙の苦難の生涯」の上に、深い祈祷を込められたことをいうのであり、「血」とは、それをつくるための穀物(酒、薬草等)のことを言うのであって、浅見氏が曲解したようなものでは断じてありません。

 そしてこの聖酒式は、これまでのキリスト教の聖餐式のような伝統を受け継ぐものです。

 聖書には「よくよく言っておく、人のこの肉を食べず、また、その血を飲まなければ、あなた方のうちに命はない。わたしの肉を食べ、わたしの血を飲むものには、永遠の命があり、わたしはその人を終わりの日によみがえらせるであろう。わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物である。わたしの肉を食べ、わたしの血を飲むものはわたしにおり、わたしもまたその人におる」(ヨハネの福音書六章五三節〜五六節)とあるが、イエスの言葉を文字通りに受け取れば、キリスト教の信者はイエスの人肉を食らい、その血をすすらなければならないという異常なことになります。

 事実、初代教会時代、ローマ帝国によりキリスト教徒が迫害されていた頃、このイエスの言葉から「キリスト教徒は幼児の肉を食べる」「近親相姦をしている」などと事実無根の批判を受けて、キリスト教徒は弾圧を受けた歴史があります(H・R・ボーア著『初代教会史』七九頁)。

 しかし、このイエスの言葉に従ったキリスト教徒は、実際はイエスの血の代わりに「葡萄酒」を、肉の代わりに「パン」を聖餐として拝受したのであって、これが今なお受け継がれている聖餐式なのです。聖餐式の意味は、イエスの肉(パン)を食べ、血(葡萄酒)を飲むことによって「永遠なる生命」を得、また「イエスと一体」になる宗教的な儀式なのです。
 このように、当法人の聖酒式もキリスト教の聖餐式のように、聖酒を飲むことにより、人類の真の父母である文先生夫妻と一つとなり、神様の御元へと帰っていく儀式なのです。

 以上の経緯により貴殿の発言と主張をみる限り、当法人及び信者らの信仰に対して冒涜するようなものであり、理解及び尊重する姿勢が見られません。このような態度は基本的人権、そしてその一つである信教の自由をも尊重すべき弁護士としての態度とは言えないのではないかと思慮します。この点につき、貴殿のお考えをお聞かせ下さい。 また事実と証拠を誰以上に大切にされる弁護士たる職分にある貴殿でありますから、単なる風聞や感情的批判、または虚偽の事実ではなく、何らかの確たる根拠と証拠があるがゆえに、貴殿はこのような発言をしたものでしょうから、貴殿がこれを揺るぎない事実とする根拠と証拠の提示を求めます。

 この抗議及び求釈明書に対して、1週間以内に文書にて回答を求めます。

 もし何らかの回答がない場合には、貴殿が何らの確たる根拠なく当法人の宗教的な教え及びその実践としての儀式に対して、言われなきことを語ることにより当法人の名誉を著しく毀損する行為に至っていると見なさざるを得ません。

 平成九年十一月七日
  東京都港区西新橋一の八の八
      中銀虎の門ビル4階
    東京国際合同法律事務所
     霊感商法被害弁連
      事務局長 渡 辺   博 殿

  東京都渋谷区松濤一丁目一番二号
   宗教法人 世界基督教統一神霊協会
      総務局長 岡 村 信 男


 ●回答書
1997/11/26

 宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下「統一協会(統一教会)」といいます)総務局長岡村信男殿の、小職宛「抗議及び求釈明書」と題する書面を受領しました。
 右文書で小職の発言として貴殿が指摘する事項は、いずれも、これまでに幾度となく、文鮮明の元妻、統一協会(統一教会)の元幹部信者、現役幹部信者らによって語られてきたものです。また、様々な文献等において再三言及されているものです。
 貴殿は、『六マリアの悲劇』の著書朴正華氏が、自らその著書で述べた事実を、後に『私は裏切り者』なる著書で否定したと主張しています。しかし、朴氏は、『私は裏切り者』なる著書の出版後に来日し、一九九五年一二月二三日、『私は裏切り者』なる著書で述べられている事実は真実ではなく、『六マリアの悲劇』で述べた事実が真実である旨証言しています。
 また、一九九二年一月九日から同月一二日まで宮崎台研修センターで開催された「特別四日間研修会」において、統一協会(統一教会)幹部及び統一協会(統一教会)の有名講師が、それぞれの講議の中で、文鮮明の血分けの事実を認めています。
 貴殿が指摘する小職の発言はこれら経緯をふまえてのものです。貴殿が「抗議及び求釈明書」で指摘するように、小職が「全くの事実無根の内容」を発言した事実はありません。したがって、貴殿の小職に対する謝罪要求に応じることはできません。

以 上 

 一九九七年一一月二六日
  東京都港区新橋三丁目四番八号
     ボンフリーマンビル四階
   田村町総合法律事務所
    回答人
     弁護士 渡 辺   博

  東京都渋谷区松濤一丁目一番二号
   宗教法人世界基督教統一神霊協会
     総務局長 岡 村 信 男 殿